第14回 【 授乳拒否 】

「おっぱいを吸わなくなってしまった」、「おっぱいを嫌がるようになってしまった」という相談が、ここのところ続きました。このようなことは、決して珍しいことではありません。

授乳拒否の理由として考えられること。

  • 母乳分泌不足
  • 乳質低下
  • 乳頭混乱などの吸着不良
  • その他

ざっくりとこの4つだろうか・・・。

そもそも、「吸わせていれば、その内母乳が増えてくる」というのは間違いです。只々吸わせていれば良いのか? 授乳時の姿勢や吸わせ方はとても重要で、不適切なやり方をしてしまうと乳頭を損傷しかねないですし、傷めてしまえば頻回授乳が出来なくなってしまうでしょう。痛みを伴う授乳は、母乳の出具合に影響します。

人工乳の追加の仕方も大事です。母乳で足りない分は、勿論人工乳の追加が必要ですが、具体的に母乳の飲めた量が分からないので、3時間程度もつように人工乳を与えてしまいがちです。人工乳を与えても、3時間もたなければドンドン追加量が増えてしまい、結果、「人工乳で腹いっぱい。おっぱいいらない」となってしまうのです。哺乳瓶はメーカーにもよりますが、比較的楽に飲めてしまうので、おっぱいの後でミルクが沢山もらえるわ! と学習してしまうと、おっぱいを真剣に吸わなくなる赤ちゃんも出てきます。

夜は寝たいですよね。日中は頑張っておっぱいを吸わせるけど、夜は休ませて欲しいからと、赤ちゃんに人工乳をたっぷり与えて、5~6時間は寝かせてもらう。で、また日中頑張る・・・。このように夜間授乳を怠ってしまうと、乳腺の機能低下が加速します。どこかのタイミングで休息を摂ることは大事ですが、本来夜間は母乳が沢山作られる時間帯なので、長時間休んでしまうと、母乳の出が悪くなってしまうのです。

陥没乳頭や扁平乳頭、児の舌小帯等に伴い、元々上手く吸えなくて、そうこうしているうちに母乳が出なくなってしまったケースもあるでしょう。直接、あるいは間接的に授乳できるような工夫や、何より母乳分泌を維持していくためのケアが必須と考えます。

その他の理由というのは、例えばヘルパンギーナや手足口病などに罹ってしまうと、どうにも口の中が痛いらしく、おっぱいを吸えなくなってしまうケースがあります。症状が良くなると授乳再開となりますが、残念ながら、そのまま卒乳してしまうケースもあります。授乳再開に向けての乳房ケアが必須と思われます。

最初のうちは兎に角余裕がないので、専門家に相談しようという考えに至らないことが多いでしょう。産院で実施される2週間健診等で、もう少し母乳分泌量を増やす、せめて母乳分泌量を減らさない為の専門的なアドバイスが受けられたら良いのにと思いますが、残念ながら不十分な印象があります。この状態では厳しい。もっと早く会いたかった・・・。というケースが少なくありません。「鉄は熱いうちに打て」というように、出来ればなるべく早めに対応をお考え下さい。

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